こんにちは、キクチです。
本日は、【良い姿勢と動的姿勢】 についてです。
一般的に「良い姿勢」とは、 背筋をまっすぐに伸ばし、頭を正しい位置に保つことが理想とされ
静的な場面において効果的ですが、
スポーツにおける姿勢は、動きの中で求められるため、【動的姿勢】の方が重要です。
この視点の違いが、 競技パフォーマンスに大きく影響を与えます。
まず、静的姿勢と動的姿勢の違いですが、
スポーツでは常に動きが伴うため、静的な理想の姿勢をそのまま当てはめると、 逆に動きが制限されることがあります。
例えば、2003年の研究では、 【理想的な姿勢】を強調しすぎると筋肉の活動が制約され、 運動の効率や範囲が低下することが分かっています。
また、2014年の研究では、 柔軟性の低い選手が【良い姿勢】を強制されると、 スプリント能力が低下することが確認されています。
これらの研究から、 動きのあるスポーツにおいては、 静的な姿勢よりも競技に合わせた動的な姿勢の方が、重要であることが明らになっています。
姿勢制御には、 脳や神経システムが重要な役割を果たしています。
特に 【小脳、基底核、前庭系、脊髄反射】 が姿勢の維持と調整に関与していることが分かっています。
【小脳】 体のバランスや運動の調整に関わり、特に動作の精度を高める役割を担っています。
【基底核】 運動の開始や抑制を調整し 姿勢の安定性を保つ機能を持っています。 ※基底核の機能が低下すると運動障害が生じ パーキンソン病のような症状が現れ姿勢の安定性が損なわれる可能性があります。
【前庭系】 体のバランス感覚を司り、頭の傾きや回転を感知して 脳幹や小脳に信号を送り、バランスの維持に役立てます。
【脊髄反射】 外的な刺激や姿勢の急な変化に対して即座に反応し、 筋肉を収縮させて姿勢を維持する自動的な反応です。
これにより、意識的な制御なしに、素早い姿勢の調整が可能になります。
スポーツにおける姿勢制御には、眼球運動との統合も重要です。
『脳幹、小脳、視覚系、前庭系』 が協力して働き視覚と姿勢の安定を保ちます。
【脳幹】 姿勢制御と眼球運動の調整において中心的な役割を果たし 特に前庭動眼反射(VOR)によって頭の動きに応じた眼球の自動的な動きを実現します。
これにより、歩行中や回転運動中でも視覚の安定が保たれています。
また、脳幹の網様体は筋緊張を調整し、急な姿勢変化に即時に対応します。
【小脳】 姿勢と眼球運動の微細な調整を行い 動作中の姿勢維持をフィードフォワード制御によって最適化します。
【視覚系】 外部からの情報を基に運動皮質が姿勢調整の計画を立て、正確な動作を実現します。
スポーツにおいては、 静的な【良い姿勢】だけでなく、
競技に応じた動きに対応できる 【動的姿勢】がパフォーマンス向上に欠かせない要素となるため、
スポーツ中は、静的な良い姿勢を声掛けするのは、やめましょう!